子どもの自己効力感を高めるプログラミング教室 
2021.11.10
 

  ユーバープログラミングスクール 中村さん

 

概要
「自己効力感」は聞き慣れない言葉ではないでしょうか。「自己効力感」とは「自分はきっとこの目標を達成させることができる」と感じること。「自分が行うことは効力がある」と信じる感情。そして「やる気になればなんでもできる」と自分の能力を信じる感情のことを指します。「自己効力感」が高まると「自己肯定感」を持ち学力も向上するという研究も存在しています。その「自己効力感」を高めることにこだわったユーバープログラミングスクール。使用されているオリジナル教材「うさプロ」を中心にインタビューしてみました。
 

 

ユーバーさんは都内で教室を直営と、パートナーシップで運営されているのですね。

 

中村さん:直営校は、江東区を中心に豊洲、東陽町、九段下にあります。私立の学童さんの中のプログラミング教室を行っており、埼玉県、都内だと町田や成城、練馬や、神奈川県にもあります。また昨今は、マンションなどでワークショップを出張講座も行ってほしいという要望も多いので出向いて大人向けにも子ども向けにも行っています。私たちのサービスとしては以上のような形で、オリジナルの教材は「うさプロ」という名前で展開しています。

 

「うさプロ」は年長さんから小学生向けのジュニア・ベーシックコースと4年生以上向けの「うさプロ」がありますが、大きな違いというのはどういうところにあるのですか?

 

中村さん:もともとは2つに分けていたのですが、今は統合して1本の筋道、繋がったものに変えています。以前は小さい子は、自己効力感が下がらないよう難易度や学習量に無理のないよう分けてやっていました。今は逆に積み上げていって、その次のコースにもっとオリジナリティを出して自分で制作できるコースを続けて、学習できる構成に変えています。

 

 

 

「うさプロ」のプログラムはScratchベースで、キャラクターにミッションを与えて動かすものなのですか?

 

中村さん:教材にはテーマがあり、構成としてはループだったらまず知識ベースのところを習得する自学できる教材をScratchの中で作っています。うさプロのキャラクターが「これをやってみて」と言って、それを実際に行って覚えていくことで知識を自分で習得します。続いて、ドリルのように反復する練習。これもScratchで作っていて、ドーナツ、爆弾やミサイルなどお子さんが好きなアイテムが登場し楽しく反復できます。座標だったらゴルフのゲームのような形で座標を覚えるといったドリルがあります。その後実技検定があります。Scratchでお題に対してうさプロが指示を出すという形で判定をして、さらに覚えたことをもとに発想して何か作品を作るという、4ステップで一つの学習テーマを進めていくという作り方を全部Scratchの中で行っています。

 

うさプロを通じて子どもたちの作りたいものが作品になってくるわけですね。

 

中村さん:そのとおりです。思いもよらないものが作られたりします。それらはこちらで画面をキャプチャして、YouTubeなどで公開してみんなに見てもらえるようにしています。インプットとアウトプットと、みんなに褒められたり、フィードバックを貰ったりできるようにしています。また、みんなで「デジタルえほんアワード」というコンペに作品を出しています。1人1作品ではなく、100人なら100人で1作品を作り、みんなで共同作業をしてコンペに出すということを2017年から継続的に行っています。

 

しかしScratchでできることには限界があって、飽きてしまうお子さんもたまにはいらっしゃると思うんです。

 

中村さん:そのようなお子さんは別の方面に行けばよいと思うので、「Pythonに行った方がいいよ」等やりたいことを聞いてみて相談に乗っています。私たちは極端に難しいレベルのことまでやるつもりはなく、プログラミングのベースとなる知識は共通だと考えています。基本的な知識をしっかり身につけたら自分の好きなことをやればよいですし、中学生になってもずっと来ている子もいらっしゃいます。

 

Scratchを使って長く学びを続けさせるためのコツはあるんでしょうか?

 

中村さん:Scratchは奥が深いと思うので、学習テーマを講座15個まで設定しています。前半は座標、変数、条件分岐、配列など細かくテーマを絞っていて、後半は学びを活かして自分で設計し考え作ってみることに比重を置いています。自分で発想して問題を解決して作ってみるという形です。プログラミング言語をきわめるのではなく、プログラミングはものを作るための素地を作ると考えています

 

今のお話を伺っていて、Scratchを勉強するのではなく表現を勉強して、それが楽しいから子どもたちも続けているのだろうと思いました。

 

中村さん考え方や創造の楽しさ、コラボレーション力とか表現力、スキルの違う他者を知って一緒にやっていく力など、すべて必要な力です。特にScratchだけにこだわることはなく、たまたまツールとしてとても優れているし素晴らしいものなので使っているというところです。

 

重要なのは現状分析と、それに伴う改善と子どもたちをいかに気持ちよく学んでもらうかなのですね。

 

中村さんいかに続けさせるか、いかに楽しく、そしていかに自己効力感を下げないかがとても大事だと思っています。自信を持ってやれるという肯定感もありますが「やれない」と思ってしまうのはあってはならないことなので、「やれない」と思わせない、「できそう」と思ってもらえるというのが大事だと考えています。「悔しい」とかそういう感情は大事なのですが、よい頃合いにしておかないと効果が上がらないですよね。

お子様によっては挫折してしまう場合もあると思います。どのように対処なさっているのでしょうか。

 

中村さん一度に学ぶことを1つにすることと、細かなステップを刻むことが大切です。一度に2つ以上わからないことがあると諦めてしまいがちなので、私たちはそこを細かいステップにしています。また、Scratchはブロックをカスタムで作れます。難しいことはカスタムブロックの中にオブラートでくるんで、学んでほしいところだけにフォーカスできるように教材を工夫しています。「あれもやらなきゃいけない」「これもできない」「どっちもうまくいかない」だと、おそらく心が折れてしまうと思います。

 

通学されているお子さんの保護者様のご反応はいかがですか?

 

中村さんお子さんがプログラミングを学んだことでロジカルに、筋道を立てて考えることができるようになり「作文が上手になった」と言われたのが一番嬉しかったです。お家の方がみなさん本当に協力的で助けられています。また、作品を動画で提供しているので、「何をやってるのかな」ということがないようにしたいというのがあります。「ここまでできるようになったよ」とか「こんなに意外な発想があるんだよ」ということもお家の方にぜひ一緒に見てもらいたいです。

ユーバープログラミングスクールの情報はこちら

 

テクテク編集部あとがき

自己効力感をプログラミング教育を通じて高める。これは新しい視点だと思います。「できない」を「できる」にしてあげることが他の作文力といった学習へとつながるというところが特徴的だと感じました。

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