ユカイ工学の工作キット、kurikit。高専ロボコンでの経験を活かし、子どもの頃にほしかった商品をいま作ってみました。
2021.10.19

  ユカイ工学株式会社 エンジニア 和田 義久さん

概要
ユカイ工学が発売しているkurikitはこどもの興味の流れに自然な教育玩具です。見慣れた素材を使って自由に工作する「ユカイな生きものロボットキット」と、それをプログラミングを通じて動かすココロキットで構成されていて、こどもたちはもちろん、あちこちのプログラミング教室からも引き合いが多いそうです。エンジニアの和田さんにお話を聞いてみました。     
 
 
 
 
 

kurikitが開発されたきっかけには、何があるのでしょうか?


和田さん子どもの頃からロボットがすごく好きで、高専に行って、テレビで放送されている高専ロボコンに出ていました。その流れで今ロボットの会社で働いています。そこで、自分が子どもの頃にこんな感じの商品がほしかったという思いが芽生えてきまして、商品を作ってみようというところが開発のきっかけでした。

そのきっかけもありつつですが、ロボコンで新しく小学生の部門を作りたいという企画が2年ほど前にあり 、小学生ロボコンの公式キットとして「ユカイな生きものロボットキット」という小学生でも簡単にロボットを作れる商品を作りました。そこがkurikitというユカイ工学の教育ブランドのスタートの商品になっています。

特徴は、結束バンドをロボットの脚にしたら楽しいんじゃないかという発想です。キットにはモーター、電池、スイッチという理科で習う範囲の材料しか入っていないのですが、それと結束バンドと板を組み合わせて自由にロボットを作ります。するとコンテストでは、子どもたちが想像を遥かに超えるいろんな作品を生み出してくれました子どもたちの創造力って非常にすごいので、うまく引き出していけるブランドが作れないかというところでいろいろな商品を作っております。

 

kurikitと他社製品の大きなちがいはどこにありますか


和田さん最大の違いは、ユニークな自分だけのロボット作りが手軽に始められるという点です。ロボットキットというと、組み立てやプログラミングなど、たくさんの作業を経てようやく完成するようなキットも多いのですが、作業が多いことによって途中で飽きてしまったり、自分が作りたいロボットでないという理由で飽きてしまったりするシーンがあると思います。kurikitは、手軽に始められてユニークな動きをするという点にこだわっています。ユカイな生きものロボットキット工作キットのに限らず、プログラミング対応のココロキットについてもこの点にこだわって設計しています。

ココロキットのよく言われる類似モジュールとしては、マイコンキットのmicro:bitがあります。プログラミングの初心者向けの商品ですけれども、それと比べますと、ココロキットにはセンサもついていませんし、出力の機能も限られています。ただし電池ボックスもすべてオールインワンで内蔵されていて、ロボットのモーターをプログラムから動かすことに特化した構成です。ココロキット自体のプログラムを書き換えていただく必要もないので、電池とモーターをつなげば、すぐにでも動くので、動きのあるロボットをコントロールすることに特化しているのが他社のモジュールとの最大の違いになっております。

 

kurikitはステップアップしていける形態になっているので、小学校低学年からスタートできそうですね。

 

和田さん低学年から使っていただいている例が多いのも、弊社のキットの特徴だと思います。ユカイな生きものロボットキットやユカイなぼうけんクラフトキットは、一から十まで手順を示して「みんなで同じものを作りましょう」ではなく、自由な発想でロボット作りができます。手順や完成する形が決まっていると途中で飽きてしまったり、面白さが感じられなくなるという課題もあります。なるべくシンプルに素早く形にできて、試行錯誤しながら作れる構成にしたことで、小学校1、2年生でも取り組んで、改造して遊んでいる例を報告していただいています。

 

自由な工作の部分と仕上がったキットをどう動かすかのプログラミングは別の話になると思いますが、プログラミング部分ではどう工夫されましたか?

和田さんやはり工作とプログラミングは分かれるということで、商品としても分けています。「ユカイな生きものロボットキット」などの工作の商品は、ユーザーさんに手軽に手に取ってもらいたいのと、実際に手を動かしてものを作る体験は手軽ではありつつも奥が深くて面白い世界なので、2,970円と手に取りやすい価格で販売しています。

このキットは有線でつなげて手元でスイッチを操作してモーターを動かすことができますが、学年が上がってくると物足りなくて、無線にしたい、自動で動かしたいという発想が出てきます。そういった次のステップには、「ココロキット」という別売りの拡張モジュールを用意しています。有線で操作していた部分をビジュアルプログラミングやJavaScriptで記述した命令に置き換えることができ、自分のプログラムでロボットを動かすことができます。

最初は手で操縦してロボット作りの楽しさを感じていただいて、さらに自分が手でやっていた動きをコンピューターに自動的にやってもらうためにはどういうプログラムが必要かという思考をすることでハードルを下げられるのではないかという思考で、ステップアップを設計しています。

 

ビジュアルプログラミングからテキストコーディングに進む子どもたちもいるのでしょうか?

和田さんJavaScriptによるテキストコーディングもできる仕掛けは作りましたが、低学年から高学年の年齢層でそこまでたどり着ける人はほとんどいないです。まずはシンプルな機能で手軽にトライできるビジュアルプログラミングで、ロボットを自動で動かす体験を楽しんでいただいています。

 

レゴなどのブロック教材も、kurikitの競合製品かもしれないですね。

和田さんそうかもしれないですね。ブロックなどの規格のあるモジュールと比べると、ユカイな生きものロボットキットやユカイなぼうけんクラフトキットは自由度が高い工作でユニークな動きが作れるようになっています。ただ一方で、設計図を用意せず「自由に作ってね」としか言われないと自由すぎて何を作ってよいか戸惑ってしまうお子さまも一定数いるというお話も伺っています。

そこで、今年8月にはブロックやフレームを組み立てることでロボットを作る「ユカイなパチパチブロックキット」という新商品を作りました。はさみや工具不要で気軽に始められ、自分が組み立てたロボットを動かせるキットになっていますので、ぜひお試しください。

 

 

 

テクテク編集部あとがき

ココロキットを始めとしたkurikitブランドの歴史はまだ1年半ですが、個人ユーザーとあわせて、プログラミングを扱っている学習塾からの購入もかなりあるそうです。既存のキットはすべて遊び尽くしてしまって、次の段階では自分のアイデアを自由に形にしてみたい子どもたちを対象に導入されている例があるとのこと。初心者にもログラミング経験者にも十二分に楽しめる、幅の広い教育玩具なのではないでしょうか。

 

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