引地さん:ソフトバンクが流通事業を始めてから40年経ち、SB C&SではさまざまなIT商材を取り扱っております。取り扱いの幅も広く、世界中のSTEAM教材の中からよりよい教材を調達し、レッスンに使うことができます。一つの教材をずっと使い続けるのも一つの手法だとは思いますが、当社は、お子さまの年次に合わせて、国内外の教材を柔軟に使っていけるところが強みです。
引地さん:もともと教材は全てデジタル化しているのですが、オンラインの画面上でレッスンを受けるときお子さまの手元に資料がないと、講師の話を聞き逃したときや画面が見づらかったとき、通信環境が悪くなってしまったときなどの際に困ってしまいます。また、テキストによってはレッスンで解く問題と回答を記入する欄が設けてあるのですが、小学生の間は鉛筆で文字を書くことも大切にしてほしいため、現時点では併用しています。
引地さん:低学年クラス向けに使われるScratchJrはタブレット対応のみとなっています。現在の仕様では、タブレットでZoomを立ち上げたあとにScratchJrを立ち上げると、カメラがオフになってしまい、講師からはお子さまの様子がわかりません。すると声掛けのタイミングが難しくなってしまいます。お子さまの性格も様々ですので、講師側からお子さまの状況を汲み取っていくことを意識しています。プログラミングの作品だけではなく、お子さまの様子も講師がしっかりと把握して適切な声掛けができるよう、品質の高いレッスンをさせていただくために、あえて2台ご用意をお願いしている状況です。
一方、チャレンジクラス以上ではパソコン1台でも受講いただけるようにしています。パソコンであれば1台でZoomとプログラミングアプリを同時に立ち上げられますし、他のアプリを立ち上げていてもZoomのカメラがシャットダウンされることはないので、パソコン1台か、またはタブレットで受講される場合は低学年と同じように端末2台を用意してくださいとご案内しています。
引地さん:レッスンに入会していただく際に、保護者様のご負担にならない形で、レッスンの事前準備の案内をお送りし、mBotの組み立てから初期設定まで、親子でのご対応をお願いしています。動画を見ながら一緒に組み立てにチャレンジしていただくことで、お子さまの機器の構造に対する理解を深め、実際にトラブルが起こった場合、より対処しやすくなるようにしています。
早坂さん:レッスンを開発するにあたってmBotらしさをどう引き出し、楽しんでもらうか考えたときに、ポイントとなったのは走らせることでした。目的もなく走らせるだけでは子どもたちも飽きてしまう可能性があります。ですので、街のようなマップを作り、右折、左折、LEDの信号で止まるといった学びの要素を入れて、自然に街の中を走らせるイメージを持ってもらいながらプログラミングやSTEAMの要素を織り込み、学習してほしいという思いがありました。
もう一つマップの工夫ですが、mBotを動かしていくときにあまりにも大きいマップですとZoomのカメラに収まりきれません。かといって小さいマップですと、mBotは大きさがありますので少し動かすと端っこに行ってしまいます。最適なマップの大きさは相当に検証しました。
引地さん:私たちが重要視している考え方として、認知心理学・発達心理学の第一人者、テンプル大学のキャシー・ハーシュ=パセック教授が提唱している6Csがあります。
6Csのうち、特に「Communication」や「Collaboration」について、オンラインでどう実現していくか、常に考えています。たとえばお子さまの作品でクラスメイトとレクリエーションをする要素をレッスンに取り入れたり、発表の時間を工夫したりしています。発表は、自信を持って取り組む力や他人の作品をしっかり見ることで気づきやきっかけとなり、創造力に結び付くようにという狙いもありますが、クラスメイトの発表をよく聞いて良いところを見つけて伝える時間を作ることでコミュニケーションに結び付くようにしています。
またレッスン中や発表の時、お子さまが答えてくれた内容に対して「なぜそう思ったの?」と聞くようにしていますが、Critical Thinkingとともに、自分の考えを伝えることでコミュニケーション力を育むことも目的としています。STELABO Onlineでは、あえてしっかりとコミュニケーションを取る場を作っています。
引地さん:説明一本槍にならないようにしています。6Csで言うと、まず「Contents」をベースとして身につけてもらうところから入り、実際にコンテンツを制作して理解を深めてもらい、最後に発表してアウトプットする「インプット~理解を深める~アウトプット」の流れを繰り返していきます。大人もそうだと思いますが、インプットだけでは飽きてしまうので、インプットがあったら次にちょっとした演習があり、またインプットがあってちょっと演習があり、大きな制作の時間があるという形になるよう教材の作り込みを行っています。
引地さん:ソフトバンクグループ企業ではAIやIoT、ロボットを中心に投資や事業展開をしていますし、本当にいろんな面白い技術がグループ内に蓄積されています。グループ企業と連携しながら、ステラボのレッスンにもデジタル技術を活用していきたいと思っています。
ただその一方で6Csを育成するという目標もあります。AIやロボットで改善できるところはやりますが、非認知能力を上げる部分で言いますと、やはりまだまだ人の手を介在する必要があると思います。私たちとしてはそのようなスキルを育成したいので、上手くバランスを追求していきたいと思います。
テクテク編集部あとがき
チャレンジのレッスンを拝見させていただき、印象だったのは、STELABO Onlineの中心的な考え方がITを通じてのコミュニケーション育成中心に置かれていること、そのために講師がお子さまの表情を注意深く見守り、お子さまとの交流を図っているところでした。STEAM学習でありながら、根幹的な部分はアナログなアプローチが取られていることが意外でもあり、これからの学びの進化に重要であるように思えます。
6Csを提唱しているキャシー・ハーシュ=パセック教授の著書「子育て 成功への道」は年少者への行き過ぎた早期教育に警鐘を鳴らし、豊かなコミュニケーション力と柔軟な発想力そして”なぜ?なに?”と不思議に思う心が、強いココロと柔らかなアタマを備えた「可能性ある子供たち」を育成すると提言しています。お子さまのITを使った学びと豊かな人間性づくりにに関心をお持ちの保護者の方は一度、レッスンを覗かれてみてはいかがでしょうか。
STELABO Onlineはレッスンが体験できる無料イベントを定期的に開催しています。ぜひともお気軽にご参加ください。
またテクテクは低学年向けのベーシックのレッスンについても、実際に受講されているご家族と担当の講師に取材をさせていただきました。具体的にどのようにプログラミングが学ばれているかをレポートいたしました。こちらも、併せてご覧ください。